『幼なじみ』
第43章 震撼
「ウ・・・ウ―――ン・・・」
目を擦りながら・・・
瞼を開けた
あたしの視界に・・・
病室の天井であろう・・・
格子状の・・・
白いパネルのような板が・・・
薄暗がりの中・・・
ぼんやりと・・・
浮かび上がり・・・
自分がベッドに・・・
横たわっている現実を・・・
否応なしに・・・
知らしめて来る・・・。
『あ・・・あたし・・・
担当の先生の話・・・
聞いてる途中で・・・
意識・・・
無くしちゃったんだ・・・
た・・・拓弥・・・
大丈夫かな・・・
とにかく・・・
優しかった・・・
さっきの看護婦さん
見つけて・・・
もう一度・・・
拓弥に会わせて・・・
もらわなきゃ・・・』
ゆっくりと・・・
上半身を・・・
起こしながらも・・・
ここが何処なのかも
些か分からず・・・
目を細め・・・
辺りを見回すさ中・・・
ふと枕元に・・・
多分に・・・
看護師が綺麗に
並べてくれたのだろう・・・
あたしが・・・
身につけていた・・・
細々(こまごま)とした
自分の私物と・・・
缶コーヒーを発見し・・・
思わず声を挙げる・・・。
「アッ・・・!
セキュリティの人・・・
飲み物・・・
買って来てくれたんだ・・・」
ついうっかり・・・
存在を忘れていた・・・
まだ近くに・・・
居るかもしれない・・・
そのセキュリティに・・・
きちんと・・・
お礼を言おうと・・・
思い立ったあたしは・・・
急いで・・・
追い掛けるべく・・・
枕元の私物を・・・
ワンピースのポケットに
ササッと詰め込み・・・
ベッドの下に
無造作に置かれた
自分のサンダルに・・・
浮腫んだ足を
ギュウギュウに
履き入れる・・・。
すると・・・
にわかに・・・
部屋のドア越しから・・・
廊下で会話している・・・
男の声が漏れ始め・・・
殺伐とした・・・
その異様な空気を・・・
部屋の中から
感じ取ったあたしは・・・
ベッドから
静かに立ち上がり
扉に近づいて行くと・・・
息を殺し・・・
耳をそば立てた・・・。