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『幼なじみ』

第11章  嫌悪



品川の
小さなマンションで・・・


母親と
二人暮らししている
拓弥は・・・


漸く・・・
自宅近くの
薄暗い月極め駐車場に
到着し・・・


砂利が
撒いてある敷地に・・・


素早く
愛車を止める・・・。


この・・・
黒くてまだまだ新しい
ボルボは・・・


高校卒業間近・・・
両親が離婚した際・・・


迷惑料だと言って・・・


会社経営している
父親がくれた・・・


最後の高価な
プレゼントだ・・・。


ボルボの
木製のハンドルを
ゆっくり擦りながら・・・


「親父・・・
生きてっかよ・・・?」


と独り言を呟き・・・


カーラジオから
流れる・・・


心地良いレゲエ
ルーツを聴きながら・・・


静かに目を瞑り・・・


暫く車内から
父親に思いを馳せる・・・。


『親父のせいで・・・
家族皆・・・
バラバラだよな・・・』


父親に対し・・・


育ててくれた事には
感謝しているものの・・・


フツフツと
湧いてくる・・・


憎しみに近い
感情は・・・


なかなか今でも
拭いきれずにいた・・・。











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