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優しくしないで

第12章 青空に…煙り


私達は…


光一さんにお辞儀をして…


会場を出て、火葬の風景を外から…見守った…





お坊さんがお経をあげている間に…



太一の棺は…



ゆっくり…





窯の中へ進んでいく…







泣きつづける母親…

涙を我慢していた父親も…

棺が最後まで収まり…


扉が閉じられると…







声を上げて……






涙を流しだした…





兄も…そんな父親を見て…


声を殺して…涙を流した…








『太一!!!!!!』


私は…


…扉が閉まる瞬間に…



大きな声で叫び――――


崩れ落ちた――――!!!







『太一!!!太一――――!!!』



何度も、何度も―――――


名前を叫んだ――――!!!






火葬場の煙突から…





白い煙りが…




夏の青い空に…




一本の線を描き…




上っていく………









太一は…









煙りになった…







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