優しくしないで
第14章 未来を描く力
『あの…私…どんな顔でした?』
入間さんは、タバコの灰を灰皿に落とすと…
『…無?
かな?…無表情より“無”って感じ。
色がない…って感じかな』
『無色の無……』
コーヒーを口に持って行くと…
コーヒーの表面に…自分の顔が写った…
『…無…………ですか…』
『そぅ…
後にも前にも進めない…そんな顔…
その子も気になってさ…声かけて、カットモデルになってもらったんだ…』
『……その人は…?』
タバコを吸い…煙りを口から出す…
『……髪を…切ってあげた…ボサボサの…伸びきった髪をね…
イメチェンして、痛んだ心と体を枝毛と共に…断絶してあげたよ』
……入間さんはタバコの火を灰皿で消すと…
コーヒーを飲んだ…