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優しくしないで

第16章 私の一部

「…はい…出来た…」



仁さんの声に…





鏡の自分を見つめる……






『……凄い…』




仁さんの顔は、真剣な顔ではなく…



優しく…微笑む…



「…凄く短くなったけど…
留美ちゃんは…背が高くてスレンダー、首も長いから…ベリーショートも凄く似合う…」



『……仁さん…

褒めすぎ……切ったの仁さんでしょ?

凄く頭が軽い……』




私は短くなった紙を鏡で見つめ…胸に手をあてた



『軽くなって……
ぶら下がってた…いろいろなモノが…
やっと…ココに納まって…私の一部になった気がする…』




「…留美ちゃん…
…君に出会えて…君の髪に触れて…
俺も……変われた…」




仁さんは…そっと…


後ろから私を抱きしめた…








『仁…さ ん…』








ギュッ……と抱かれ…



胸の奥が…暖かくなった…








でも………まだ…









太一を……



思ってしまう…




太一を…




感じてしまう…







仁さんの温もりを…太一と…



重ねてしまう…






あああ…



また、下唇を噛む…








「……」





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