優しくしないで
第17章 消える訳がない…
「……兄弟だしね…
雰囲気とか…面影とか…
嫌でも似るさ…」
ハハハと笑う、姿は…
少し太一に似ていたが、大人の男性…だった…
「…髪…長かったよね…君…
切ったんだ……。似合う」
『……花を…』
「あっああ…ありがとう」
私は光一さんの隣に立つと…
フェンスに花束を凭れかけさせた…
「…一ヶ月…たって…どう?大丈夫?」
私は…光一さんを見つめた…
『…大丈夫…です』
光一さんはクククっと笑って…
「…無理するなよ。
あの時…外で……すげー泣いてたの…見てたし。
友達の彼氏に…あんなに必死になる子は…いないでしょ?」
何も言えなかった…
“大丈夫です”は…嘘だったし…
会いたい気持ちは残っている…
カチッ!
光一さんはタバコに火をつけた…
「…一ヶ月前…
俺は…ただただ…ぼーっと毎日過ごすだけの…大学生だったんだよね…」
光一さんは…フェンスに寄り掛かりながら
タバコを一口吸った…