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優しくしないで

第17章 消える訳がない…

ふーっと…

空に吐かれる煙り…




オレンジの空に…


………柔らかく消える…




「…夜にさ…父親から電話が来て…

病院で…太一に会ったよ…





不思議と……涙が…出なかったんだよね……


なんか…お袋が…すんげぇ泣いてて…気後れしたっつーか…現実味がなかったつーか……」




光一さんは…タバコをもう一口吸おうとしたが…


その手が…ダラリと下に落ちた…



「……一ヶ月……

お袋も、親父も…落ち着いてきたらさ…


……やっと…実感沸いて来てさ…


俺…

いい兄貴じゃなかったなぁって………後悔…してたんだよ。





頼りない…兄貴だったから…


相談とか…されなかったのかなぁ…とかさ…柄にもなく思って…



いまさら…泣けてきてさ…」




光一さんは…


持っていたタバコを手の平で握り潰した…




『………光一さん…』




『…やっと…落ち着いた両親の前で…泣けないし…

一人暮らしのアパートにいたら…自分を責めそうで怖いし…







本当…情けない…兄貴だよ…』






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