優しくしないで
第20章 走り出す
私は仁さんを待つ間に、洗濯の終わったタオルやおしぼりなどを干したり…
乾いたのを畳んだりした…
ふわりと柔軟剤の香りと、美容室のトリートメントの香りが…
精神を安定させてくれた…
『落ち着く…』
「あっ!!!留美ちゃん、また桃さん…高校生に働かせて!!!」
スタッフルームに、備品を取りに来た仁さんが、ホールにいる入間さんを睨む…
なんだ、自然なやり取りに…
自然と笑えて来る…
「ごめんね…留美ちゃん…もう少し待ってて。
今のお客様、美人さんを更に美人さんにしてくるから」
『はい、頑張ってください。』
自然に…出てくる…言葉…
ここの香り……落ち着くのは…
仁さんの腕の中と…
同じ香りだから…
私は…大きく深呼吸をした…
少し…ドキドキ…する…
乾いたタオルをギュッと握りしめる…
暖かい…
眠く……
な……る……