優しくしないで
第21章 宝物
『ただいま…』
家に帰ると…
『お姉ちゃん?お帰り〜』
愛美の声がリビングからした…
進路を変え、自分のレベルギリギリの学校を受験すると言っていた愛美が…珍しくリビングでくつろいでいた…
『休憩…小腹がすいちゃって』
『…そっか、頑張ってたね』
『うん…。
お姉ちゃんも…頑張って来たんでしょ?』
『うん…。』
愛美は電子レンジから、温っためたミルクを二つ出してきた…
『はい、ホットミルク。』
『え?あたしの分?』
『玄関先で…どんだけ見つめ合ってんのよ。』
愛美はニヒヒっと悪戯っ子のように笑うと、カップを持って2階の自分の部屋に戻って行った…
『////あっ…愛美!』
差し出されたホットミルクは温かくて…
湯気がフワフワとミルクの甘い香りをリビングに広げる…
『……長く…見つめ合ってないよ…』
一口…また一口と…
体の中から…温められる…
『…美味しい…』