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優しくしないで

第24章 後ろ髪……



《……奏…俺は………》





謝りたかった……



あの時の……子供だった自分の行動を……






「………」





しかし……

俺の手を包む左手首の





――――傷――――…




が……忘れそうだった…



罪悪感を―――――…



呼び覚ます……







深く…刻まれた…傷…











深い……


消えない………傷……







『…仁?』



奏は…長い黒髪を耳にかける…






目に飛び込んで来たのは…




事故の傷…




耳の周りに細かく……




穴の中まで……

細かい傷や深い傷……





当時は…包帯をしていたから…見たことはなかったが……




こんなにも痛々しいとは……





俺は…奏の耳に…そっと…触れる…






『…そっちは……完全に聞こえない方だよ…』








「奏……」




耳に触れる手に…手を重ねる…奏…






『……仁…私のために…手話…習ったの?』





「……ああ……」









『……うれしい…』








俺は……




……奏の傷に………




何とも言えない気持ちになっていた……





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