優しくしないで
第26章 喝采…
『…緊張しないで。
少し話しがしたかったの…』
奏さんは少し困った顔をした…
私は、奏さんと共に…すぐ近くにあったカフェに入った…
『え〜っと…留美ちゃん?でいいのかしら?』
『え…名前…』
『お店の方の唇が、“るみちゃん”って動いてたから…違ってた?』
『いえ!あってます…
えっと…始めまして……澤口留美です。』
奏さんはクスクスっと笑ってた…
『始めましてって…可笑しいわね』
笑い方が上品な奏さんに…少しドキンとした…
『…何か飲みましょうよ、外、寒かったし…暖かいのがいいわね…』
奏さんは…長い黒髪を耳にかける…
耳には無数の傷が痛々しい…
『私、ミルクティーにしようかな!留美ちゃんも同じでいい?』
『は…はい…』
スマートな流れで…奏さんは注文し、微笑みながら窓の外を眺める…