優しくしないで
第26章 喝采…
『昨日…仁…大丈夫だった?』
ポツリと…外を見ながら…仁さんを気にかける奏さんに…
グッ…と胸が苦しくなる…
『……まだ…早かったかな…会いに行くの…』
『奏さん…?』
奏さんは…悲しい顔をしながら…耳の傷を触った…
『…留美ちゃんは…私の耳の事…聞いた?』
奏さんは…耳を触りながら聞いてきた…
『はい…少し…』
『じゃあ…こっちも…聞いてるよね?』
奏さんは左の手首の傷を…袖から除かせた…
耳の傷同様…深く…痛々しいものだった…
『…少しは…』
奏さんは…俯き……『そっか…』
と、つぶやき…
微笑んだ…
『…奏さん…?』
『…よかった…
ちゃんと話せる子が出来てて……』
奏さんは…さっきの悲しい顔ではなく…
安心したような…
穏やかな顔になっていた…