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優しくしないで

第8章 音のない夜

『…仁さん……』




「…留美ちゃん…花火…
終わったみたいだね…」





店の外は、花火を見終わった人々が…笑顔で…



歩いている




色とりどりの浴衣姿の人影…



『…太一と…来たかったな…』



「留美ちゃんは…太一君が…好きだったんだね…」




好き…だった…



今でも…好き…



『…好きなのに…
利用したの………
結局…自分を守るために…
太一を苦しめた…苦しめ続けた…』






私は…ゆっくり…




太一との関係を話した…




外の賑やかな声は…

店の二人には聞こえなかった…



静かな店内で…



仁さんは…

話を聞いてくれた




静ちゃんの告白…


二人への嫉妬…


足の怪我…


未来のリセット…



編入…



太一との…日々…






仁さんは…


時折、ギュッと強く抱きしめる…




そして…


プールでの…



優しいキス…



二日前のメール…






今……






仁さんは…黙って聞いてくれた








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