テキストサイズ

夢で逢えたなら~後宮秘談~

第3章 結ばれる

 まあ、百花自身が謀や嘘とは縁遠いような正直な質だから、自分(王)の気質までをも考慮した行動とは考え難くはあるが―。それにしても、してやられたと腹立たしい想いであるのに変わりはない。
 恐らく、王の言いなりになるのが厭で、精一杯の抵抗を示したつもりに違いない。
「殿下、どういたしましょう? すぐに掃除など止めさせるべきかと存じますが」
 監察尚宮の言葉で、王は漸く我に返った。
「いや、棄て置け」
 首を振って片手を上げた王に、監察尚宮は真剣な顔で進言する。
「さりながら、このままでは他の者に示しがつかないのではございませんか」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ