夢で逢えたなら~後宮秘談~
第1章 恋の訪れ
プラトニックな恋愛を何も目くじら立てて、取り締まり、要らざる犠牲者を出す必要はない。
殊に、一生涯を嫁すこともなく、女の幸せが何たるかも知らずに過ごす女官の侘びしさ、哀しみを、老いた女官長たちは誰よりよく知っていた。
むろん、女官の懐妊が発覚したときは、大騒ぎになった。―というより、流石にそれを黙認はできなかったからだ。建て前上、国王の女である女官にとっての〝良人〟は王ただ一人。国王の寝所に一度でも召された女官が懐妊するのならばともかく、〝お清〟(お手つきではない)のはずの女官が懐妊するわけがない。
殊に、一生涯を嫁すこともなく、女の幸せが何たるかも知らずに過ごす女官の侘びしさ、哀しみを、老いた女官長たちは誰よりよく知っていた。
むろん、女官の懐妊が発覚したときは、大騒ぎになった。―というより、流石にそれを黙認はできなかったからだ。建て前上、国王の女である女官にとっての〝良人〟は王ただ一人。国王の寝所に一度でも召された女官が懐妊するのならばともかく、〝お清〟(お手つきではない)のはずの女官が懐妊するわけがない。