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夢で逢えたなら~後宮秘談~

第5章 妖婦

「―判った」
 百花は頷くと、吐息をついた。
「昌淑。私はこの子が女の子だったら良いと思うの」
 王子じゃなくても良い、いや、むしろ、王子であるより、翁主(王女)の方が良い。娘と二人、この王宮の片隅でひっそりと母子で生きてゆけたなら、それだけで良い。他には何も望まない。
 百花の想いを見透かしたかのように、昌淑が薄く笑った。

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