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天使の世界

第2章 一人目の天使…。

『妊娠検査薬買うのが怖いの…。

竜ちゃん。

一緒に買いにいこ?

検査するとき側にいてくれない?』

お母さんは今にも泣きそうな顔してた。

泣きそうなお母さん…。

ごめんなさい。

私が居るからだよね?

でも、居させてください。

お母さんが大好きなの。

離れたくないの。

『俺、近くにいても何もできねぇし。

ムリ!

帰るわ。』

『りゅうちゃーん!

待って…。

りゅうちゃ…ん…。』

お母さんは泣いていた。

帰っていくお父さんを見ながら…。

そして…

お母さんは私の存在を知った。

『子供がいるの…。


わたし…


妊娠してるの…。


どうしよう…


お母さんに言わなきゃ…。』


でも、お母さんはおばあちゃんに言えなかった。

言いづらい…。

言えない…


でも言わなくちゃ…

その言葉がずっと私に降り注ぐ。

『お母さん…。

ごめんなさい。』

お母さん、私がお腹にいてごめんなさい。

おばあちゃん…。

困らせてごめんなさい。

『何?』

『赤ちゃんが…。

お腹にいるみたい…。

妊娠検査薬で…。


ひくっ…。


ひくっ…。』

おかあさんは泣きながらおばあちゃんに説明した。

おばあちゃんは何も言わずに何もせずにただ座ってお母さんを見ていた。

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