黄色い恋 ~kazunari ninomiya~
第1章 高2の春
麗「っんー!快晴っ♪」
大きく伸びをして空を仰ぐ。
額に手をかざさないと見上げられないくらいの澄みきった空。
…、うん。
いいことありそう♪
いつもは勘が優れないあたしでも、この勘は当たりそうだなっ♪
とか言うのも勘なんだけど、(笑)
この春、あたしは高2になった。
麗「今年もいい年だといいな…」
そう。
今年『も』。
去年の今頃は入学したばっかりで右も左も分からないあたしだったけど、今ではもちろん、高校にも馴染んだし、
好きな人だって出来たの。
麗「ふふふ♪今年も櫻井くんと同じクラスだもんねー」
あたしの好きな人、
頭もよくて、優しくて、友達がたくさんいて。
ちょっと運動は苦手みたいだけど、好きになっちゃえばそれも魅力の内。
麗「かっこいいしね///」
でも、だからと言ってかっこいいから好きになったんじゃない。
『好き』だから全部かっこよく見えちゃうの…///
麗「あー♪幸先良すぎ!」
るんるん、軽い足取りで新しいクラスへと中庭を歩く。
2年になったから校舎が北校舎に変わるのだ。
麗「んふふ♪」
つい、駆け出したその瞬間、
―ドンっ!
麗「っきゃっ!」
「って…、」
―ボチャッ!
脇から誰かがこちらに向かって来てるのを知らずにガッツリぶつかった。
麗「ったぁい…、は!すっすいませ…っ」
やばい、
ぶつかった人は後ろに手を着いて、転けさせてしまったみたい。
「おい、」
ービクッ
突然の低い声。
鋭い視線があたしに向けられた。
麗「すっすいません!ほんと、ごめんなさ……」
前言撤回。
『いいことありそう♪』
や、いいことなんて起きないよ、
『幸先良すぎ!』
何がだ。図に乗るな。
数分前のあたしをぶん殴ってやりたい。
そのお陰で今こうして、
睨まれてる訳で…。
麗「あのっ、ほんと……すいませ…」
「カバン、」
え、カバン…?
その人は立ち上がって指である方向を差した。
池。
カバン。
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麗「きゃあーーーーーーーー!!」
やっと状況を理解したあたしは悲鳴をあげた。
「どうしてくれんだよ、責任はとってもらうからな」
その人は不敵な笑みを浮かべて目を細めた。