黄色い恋 ~kazunari ninomiya~
第1章 高2の春
麗「や、ほんとごめんなさい!わざとじゃ……ないんですけど、そういう問題じゃなさそうですね……」
現にその人のカバンは池の中に。
ぶつかった拍子に池にポチャしたらしい。
いや、ふざけてる場合じゃない…!
「……はぁ…………、あんた……名前は…?」
その人は池に向かって歩きながらあたしに聞いた。
麗「…っきっ黄野原麗菜……です……」
てゆうか、この人の上から目線は何…?
確かに悪いのはあたし。
絶対的にあたし。
だけどもう少し感じよくても……
いんじゃないっすか…?
そんな、冷たくなくてもさ…。
なんか、激怒されるよりやだ…。
「キノハラ…?」
その人は池からカバンを拾い上げて顔をしかめる。
カバンからはポタポタと雫が落ちる。
麗「…っあ、『黄色い野原』で黄野原…」
……それが…。
なに?
「……あっそ、初めて聞くわ。黄野原ねぇ……」
濡れたままのカバンを肩に担いでその人は斜め上を見た。
…………自分から聞いたくせに…。
なにその態度…。
ちょっと…………
てか、かなーり上から!
麗「あのっ、なんなん…ですか……」
あたしは少し警戒態勢に入って恐る恐る聞いた。
「あ、あぁ。責任。とってもらうからね」
あんだけ上から目線だったのに突然、笑顔を向けて去っていく。
……絶対あの笑顔、裏の顔だよねー…。
てか!
麗「あのっ!……」
「ん?」
麗「…名前…」
そうだよ、あたしだけ名乗るんじゃフェアじゃない。
…でもその人は笑うだけで
「さぁ?」
と言って行ってしまった。
麗「……は…?」
え、さぁってなに?
……あたし……、
幸先悪すぎ……………………。