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黄色い恋 ~kazunari ninomiya~

第8章 ケンカ




かずは目を細めてあたしを上から見下ろす。

麗「っあっ、あれはっ!」

それを言われると恥ずかしい…。


麗「や…、だからさ…、ごめん…って」

まっすぐかずを見れなくってあたしは下を向いてぼそぼそと呟く。

そしたらかずは「ふっ」って笑ってあたしの頭をポンポンってした。

麗「…ふぇ?」

間抜けな声をあげてかずを見上げる。

和「麗菜だから許してやんよっ!」

あたしの頭に置かれた手は、今度はぐしゃぐしゃと乱暴に髪を乱れさせた。

麗「っちょ、やめ…っ」

つい、笑いが漏れてあたしはかずの手を払いのけた。

和「ははは(笑)ボサボサ(笑)」

あたしの頭を指差してかずは笑った。

麗「なっ!かずのせいじゃん!」

手櫛で髪を整えてかずをばしっと叩いた。

和「って!(笑)てめぇ、」

麗「にゃははは(笑)だっせぇの(笑)」

和「っのやろっ!」

麗「あはははは(笑)」


いつのまにかじゃれあいになってあたしとかずはキャッキャと騒ぐ。


さっきのことなんて忘れてた。

聞きたいことなんてたくさんあったはずなのに、いつのまにかそんなこと忘れるくらい、はしゃいじゃって。








麗「ん、ありがと」

家の前までかずが送ってくれてあたしは玄関の門の中からかずにお礼を言った。

和「なに(笑)やけに素直じゃん」

かずは門に体重を乗っけてあたしをニヤニヤと見てくる。

麗「うるさいなぁ。あたしが素直に『ありがとう』って言ってんだから、素直に喜べ。バカ」

ギロリと睨んでかずが体重をかけてる腕をグーで軽く殴ってやった。

和「お前、ほんと暴力振るうな(笑)」

『ヤンキーかよ(笑)』って笑ってあたしを馬鹿にしてくる。

せっかく今日くらいは感謝してやろうと思ったのにそんな気失せる。

麗「あんたはうっさいよ」

くるりと体の向きを変えてあたしは家の扉へ進もうとした。

和「んじゃ、また明日な」

『カシャン』って音がしてかずが門から離れたのが分かった。

後ろを振り返るとかずは舌を『ベッ』と出して帰ろうとした。

咄嗟にあたしは門へ駆けた。

麗「さっき!……ありがとね」

女子の、あれね。

かずはあたしをじっと見てくる。


……なによ…。

和「……おぅっ」

ニカってはにかんでかずはまた歩き出してしまった。




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