黄色い恋 ~kazunari ninomiya~
第5章 始まり
こんにちは…、
只今、黄野原麗菜、ピンチです…。
桜「…、れ、麗菜…」
桜が後ろから小声で呼ぶ。
「どうした、黄野原。問3だぞ?」
教壇に立った数学の先生があたしに答えを促した。
分かってるわよ!
そんなこと!
だけどわっかんないの!
麗「うー…あぁー…、っとー…」
なに?!
もう何がなんだか分かんない!
あーん!もうわっけわかんない!
麗「√5…じゃなくて…、」
あー!
も、どーにでもなれ!
麗「わかりません…」
恥ずかしさと情けなさであたしは俯いて教科書で顔を隠した。
と、
「…クスクス…………」
……………………え?
あたしは顔を上げて笑い声の聞こえた方をみた。
「クスクス…」
あ…、あのこたち…、
教室の後ろの方の席に座ってる数人の女子が笑ってる。
なんで…?
「…こえーよな、女子って…、あぁやって二宮に群がる他の女子のことイビってんだろ?ファンみたいなの作って協定結んでんだってよ。抜け駆けを阻止するために」
あたしの近くに座ってる男子がそのとなりの友達とそう、話している。
…あぁ…、始まったって訳ね…。
まぁ、分かってたよ。
こうなるだろうなぁーって。
「黄野原、もう座れー」
麗「あ、はい…」
あたしは教科書を机に置いて椅子に座った。
桜「麗菜、大丈夫?気にしない方がいいよ…」
桜があたしに耳打ちして、笑ってた女子の方を見た。
麗「あぁ、あたしもこうして孤立していくみたいね。ハッ」
鼻で笑って足を組んだ。
桜「麗菜…、荒んでるよぉー…」
何が『ファン』よ。
あたしは二宮なんて眼中にないわ!
要するにあたしが邪魔だってんでしょ?
気にくわないってんでしょ?
あー、くだらない。
も、ほんとやだ…。
あいつと関わってからいいことなんてひとつもない…。
いや…、ひとつだけ、あった。
櫻井くんと友達になれたんだ!
……もうやだなー、
あれで終わりじゃないんだろうねぇー
めんどくせぇぇぇぇぇ、
あたしの高校生活、どうなるんだろう…。
1年のころはあんなに楽しかったのに。
それもこれも…!
あいつのせいよ!
絶対切ってやる!
あいつとの関わりを!
綺麗さっぱり!