甘い毒は変態を刺す
第1章 放課後の教室
「鈴原、誠(マコト)くんだよね?」
椅子から立ち上がったまま動けない俺に矢吹くんの問に小さな掠れた声でうん、としか言えなかった。
泣かれたらどうしよう。
叫ばれたら?先生に言われて停学処分も有るか?
なんて、矢吹くんの綺麗なつむじを眺めながら思考を巡らせる。
と、矢吹くんが顔を上げたと同時に肩を軽く上から押され再び椅子に座る形になった。
状況が飲み込めず矢吹くんを見ると、不適に微笑みネクタイをずらした。
「鈴原くんは、僕とシたいの?」
「え?」
「いいよ、別に」
緩められて、ゆっくりと重力に従って床に落ちるネクタイが何だかとてもエロくて、背徳的だった。
シャツのボタンを数個外すと白くて綺麗な肌がシャツから覗く。
こんなビッチ、知らない。
矢吹くんはもっと清純で……
そう思っているはずなのに、俺自身は素直に反応してしまう。