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雨の人

第3章 告白

『大丈夫?

痛いところはない?

大丈夫?』




と何度も優しく聞かれ

私は腕が痛かったけど

黙ったままうなずいた




『ちょっと…

この車からはなれようか……

ゆきちゃん』




『あ、はい……え?

ゆきちゃん?……

え?ぁっ………』




私は、

その人にひっぱられるように

駐車場のすみへと移動した




『ごめんね、ゆきちゃん。

また汚しちゃったね』




と言いながら、

その人は私の服についた汚れを

軽くはたいている




『川村さん?……あの…

違ってたらごめんなさい。

川村さん……ですか?』




『はい……川村ですよ

ゆきちゃん』




そう言って川村さんは

私に笑顔を見せた



その瞬間、私は体から力が抜け

なぜだか涙が溢れてきた。

安心したのか

うれしかったのか…

全く分からないまま

泣き出してしまった。




川村さんは、

ちょっと困った顔をしながら

タオルを私に渡してくれた。




そのタオルも、かなり汚れていて…

私は、少し笑ってしまった

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