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雨の人

第1章 突然の電話

そんな日が
数日経ったある日


家の電話が鳴った。





「もしもし、川村ですけど

ゆきさん
いらっしゃいますか?」




「はい・・私ですけど…」




「あ、あの僕です。

覚えてませんか?

2週間前に電話した川村です。

ゆきさん、分かりますか?」




「川村さん?


あ…あぁ…

はい、分かります。
川村さん…ですね」





あ、川村さんだ!

私は、すぐに川村さんだと
気付いていたけど、
わざと気付かないふりを
してしまった




「良かったぁ~。

覚えてくれててうれしいです。

今日は仕事お休みですか?」




「えぇ、土曜と日曜は

お休みなんです」





「そっか~いいな~。

僕の休みは
曜日が決まってなくて
色々なんですよ。」




「今日は…お休みなんですか?」




「あっ、はい!そうです!
今日は、休みなんです!

だから電話を……。

仕事がお休みなのに
ゆきさんが
出かけてなくて良かった~。

あっ、今、時間大丈夫?

僕と電話してる時間ある?」




私が質問したことが
うれしかったのか

川村さんは
すごく弾んだ声で
無邪気に話をし始めた


こんな些細な事で
喜んでもらえるのが



私はなんだか
うれしかった




「はい、大丈夫です、

少しなら…。


今日は
出かける予定はないから」





「今日は出かけないの?

あ~天気悪いもんね。

ゆきさん…付き合ってる人…
いるんですよね?

デートとか…しないんですか?」





「あ、えーっと・・・


彼は今日お仕事なんです。

だから、デートはないんです。」




ホントは、
付き合っている人なんて
いなかった。


最初についてしまった
軽いウソを

私はもう
訂正しずらく
なってしまっていた。

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