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雨の人

第8章 ゆきの浴衣

部屋の扉を開けると

布団が敷かれていた




ゆきは一瞬、俺の手をぎゅっと握り

「なんか、照れちゃうね」

と言った




「そーだね」

と返事をして、なんとなく

二人で座布団に座った





浴衣を着慣れないゆきは

ちょっと、かしこまった感じで

座ってる




俺も本当は落ち着かない

できれば浴衣なんて

着たくなかったんだけど

俺が着ないと、ゆきも着ないからな




浴衣姿のゆきは

着慣れない感じが

また、可愛かった





「ゆき、膝枕して」

「うん、いいよ。」



ゆきの膝の上に頭をのせて

俺はゆっくり目を閉じた

ゆきは、優しくゆっくりと

俺の髪を撫でる

ゆきは、いつもそーしてくれるんだ




「ゆき、眠くなっちゃうよ」

「いいよ、寝ても」

「ほんとに寝てもいいの?」

「……」

「嫌なら嫌って、

言っていいんだよ、ゆき」



仰向けで寝ていた俺は

ゆきの方へ
体と顔を向けて


ゆきに

少し甘えた




もうちょっとだけ、

待ってて、ゆき。




もうちょっとしたら

甘えさせてやるから……




もう少しだけ


このままで…

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