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雨の人

第1章 突然の電話

毎日の出勤時

私は川村さんが気になって
仕方がない。



顔も年令も
全く分からないのだから、

対向車やバイクを気にしても、
意味がないのに……



大きなアクビをしないよう
気を付けながら
通勤する毎日が続いた…



前回の電話から一週間後の午後

また
川村さんから

電話がかかってきた




rrrr・・・・



「ゆきさん、こんにちは」



「こんにちは」



「良かった、今日も居てくれて。

うれしいな。


僕、さっき
仕事が終わったばかりで

急いで電話したんです」





「あ、お仕事だったんですか?

お仕事終わるの
早いんですね」



時間はまだ
お昼を少し
回ったところだった



「うん、今日はね
たまたま
早く終わったんだ。

ラッキーだった~。」



「そうですね
こんな天気じゃ
お家でゆっくりしたいですよね

今日は雨がすごくて
土砂降りって感じ・・・・」




「うん、そうだね。

でも…僕は……


雨嫌いじゃないよ。」





「ふ~ん…。

どうしてですか?」





「う~ん……」




川村さんが珍しく

言葉に詰まっている。


その間


外の雨音が
BGMのように流れていた。



あれ?

川村さんと、
前に電話した時も

確か…


雨音が…





「やっぱり内緒!

どうして雨が好きかは


内緒。



ゆきさん、ごめんね?」






「いえ、いいですよ。

謝らないで下さい、

私、気にしてませんから」







「良かった~。

あ、あのね、ゆきさん、

今日僕ちょっと
お願いがあるんだけど…」





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