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雨の人

第1章 突然の電話

「お願い?ですか?」




「うん


ゆきさん…

その敬語…やめない?


もっと普通に、
友達みたいに
話したいんだけど…


ダメかなぁ?」






「あ…敬語は…」






私は

知らない人と
電話している事に、

多少の後ろめたさがあった。


のめり込んではいけないという


危機感もあった。


私はそれを
敬語を使うという事で
自分にブレーキを
かけていたのだ。


更に

彼氏がいる設定の私が、
彼以外の男の人と
電話している訳だから、

軽い女と

思われたくもなかった。



それで敬語。



敬語は、私のこだわりだった



「ダメ?

ゆきさんが
普通の話し方してるの


聞きたいんだ


俺。」





「・・・・

ごめんなさい、川村さん。


しばらく敬語で…

許して下さい」






「あ、いいよ、いいよ。

全然大丈夫。



ゆきさん

わがまま言って
ごめんね。


ステキなゆきさんの声
聞けるだけで


僕十分なのに…」







「そんな…私、

私、普通の人ですよ?


川村さんが思っているような
ステキな人じゃ
ないと思います。」






「いいえ、ステキな人です。



ゆきさんがいい人って
知ってるから。」






「え?」






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