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雨の人

第9章 飲み会とアイツ

目の前まで来たゆきは
ちょっと酔ってるみたいだった。

「ゆき、大丈夫?」

と声をかけると
コクっとゆきはうなずいた。


その後すぐ
ゆきは俺の腕をつかんで

「行こう?」と俺の目を見た。


いつもは
人前でそんなことしないのに…


やっぱり様子がおかしい。


ゆきは
アイツの方を振り向きもしないで
駐車場へと俺を促した。


アイツに
文句のひとつでも言いたい気分だけど
何かされたわけじゃない。

俺は、わざとゆきの肩に
優しく手を回し
アイツに目をやった。


ゆきは、おれの大切な人なんだ
ちょっかい出すなよな!
と、心の中でつぶやいた。



ゆきは、会社の人が居るからと
いつもなら嫌がるのに
何も言わず俺に肩を抱かれたまま。


しかも、頭を俺に
預けるようにして歩いた。


アイツの表情は

離れていてよく分からなかったけど



ずっと俺たちのことを

見ていた。


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