テキストサイズ

会議室から恋。

第15章 3 坂下健人

ご飯を食べ終え、この時はよかったんだ。

前に彼女が座っていたから。

だけど、ココアを入れに席を立ち、戻ってきたら、オレの横に座った。

ふわっと彼女の香りがする。

急に何かを思い出したかのように、立ち上がった。

オレは、杉山さんの香りで、頭が朦朧としていた。

立ち上がった瞬間、すごく驚いた。

ハッと、我にかえった。

明日、映画に行きたいと言った。

黒田さんのお許しが出たら、と言ったけど、黒田さんの許しなんて、必要なわけない。

それを口実に、今すぐ帰りたかった。

香りだけで朦朧とするオレの頭は、これ以上ここにいたら、何をするかわからない。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ