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いつかきっと…

第10章 初めて


彼は、耳元で
『好きだ』を繰り返しながら、私を抱いた。

その言葉一つで
嬉しくて…
今まであまり感じることの無かった愛情を感じた。


大事なものを手に入れると失った時の悲しみが増える。


徐々に激しく、強く、まるで今までの事を忘れるかのように…抱いた。


そして、一つになった。
初めてだから、すごく痛かったけど、一つになれたことが嬉しくて…。。

嬉しかったのに
辛かった、切なかった。


自然に涙が出たんだ。それは、一つになった時の痛みで泣いたんでもなく、一つなった嬉しさで泣いたのでも無かった。

自分でも泣いた理由がわからなくて、ただ優しい手で頭を泣きやむまで撫でてくれる彼を私は恨んだ。


正直好きな人と一つになれることは嬉しい。

だけど、あのとき
別れを告げていたならば、泣くことなんて無かった。

彼の優しさを恨んだ。


私に優しくしないで、私に優しく触れないで、私に優しい言葉をかけないで。

心ではそう思っていても、まるでそれを拒否するかの様に

体は彼を求めた。

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