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飴と鞭の使い方

第2章 提案

「俺としては快く承諾してほしいんだが…」

そういうと顔を近づけてきた。
なにする気だよ!気持ち悪い!
反射的に目を閉じ、顔を背けた。
やつの口が俺の耳元で止まり何事か呟く。
「早く借金返して進学したいよな?」
それも調べたのか!驚きを隠しきれなかった。
その瞬間、やつは自分の勝利を確信したのか口元だけ笑って見せた。

「取引成立?」
「…そうだな」
情けなくて涙がでそうだった。なんて非力なんだ。
「では早速契約書を作成してこよう」
拘束していた俺の手を離し、部屋を出て行こうとする。
「ちょっと待て、俺はお前の奴隷なんだろ?契約書なんか意味ねぇだろ」
単純な疑問だった。授業で習ったが奴隷に人権的なものはなかったはず。
「お前はそれでいいのか?」
「いいわけねぇだろ!」
即答した。
フッと鼻で笑われる。
「面白いやつだな。俺だって鬼じゃない。一応同意は得たい。ま、今日はもう遅いから続きは明日にする」
一方的に会話を終わらせ部屋から出て行った。

だから勝手過ぎんだろ!アンタは十分鬼だよ!俺が保証する。


そしてやはり疲れていたのだろう。いつの間にか眠りについていた。

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