チョコレート
第1章 出会いは屋上
声のした方を見ると
ベンチに男の人が寝込んでいて
起き上がったかと思うと
私の方に歩いてきた。
「うわ、ひどい顔」
「も、もしかして最初から居ました?」
「俺は寝てただけだ」
「私が居るの気付いたのは?」
「大好きだったのに~辺り」
「それほとんど最初からじゃん…」
あ~最悪…
恥ずかしすぎる。
「にしても、泣き過ぎ」
「あなたには関係ない!」
「ある。睡眠邪魔された」
「…知りません」
もう何この人!
帰ろう。
そう思ってドアに向かおうとした
「待って」
突然腕を掴まれ
「何っ」
「これやる」
そう言って差し出してきたのは
ひと粒のチョコレートだった