ホストに恋
第32章 32
ある施設の前に車が止まった
「あら、今日わ早いのね。」
「店、早く切り上げられたので。どうですか?」
「いい報告をしてあげられたらいいんだけど…変わりないわ」
「そうですか、いいんです、命だけでも助かったらそれだけで、…何も覚えてなくても。あいつが居てさえくれたら。」
「そうね、でも諦めないでね、希望がないわけぢゃないんだから…」
「わかってます。」
「なぜ、翔太さんのことだけ忘れたのかしら」
池田拓哉と書かれた部屋の前
…コンコン
「はい」
「よ!!弁当持ってきたぜ!!」
「あ!!翔太さん、ありがとう」
「玉子焼きも入ってるぜ!!早く食えよ。」
「いただきます」
うまそうに食べる拓哉を見つめる翔太
「うまいか?」
「美味しい、翔太さん天才だね。」
拳を握りしめ涙をこらえる。
「さんきゅ。」
あの日、拓哉の心臓が止まった……しかし懸命の処置で命わ、助かったが、一週間後、目を覚ました拓哉の中から翔太のことだけが消えていた。
「拓哉!!大丈夫か?」
「誰ですか?」
「兄貴!!何言ってんだよ!!翔太さんだろ!!」
「雅哉の友達か?」
「兄貴!!」
まれにあるそうだ、ある一部分だけの記憶がなくなることが…
そして、突然思い出すことも。
すでに四年が過ぎた。
翔太わ、雅哉の友達なのだ。
「ご馳走さま!!翔太さん。」
「あぁ。」
「おいしかった。」
「夜も、来るからな!!」
「うんっ」
拓哉が窓の前に立ち空を見る。
いつもの定位置だ
「今日、空が綺麗だね。」
「そうだな、外行くか?」
「いい、ここから見てれば。」
「拓哉。」
抱きしめたい………翔太わいつもそう思うが、できない……
「翔太さん、今度雅哉も連れてきて、」
「わかった。何か欲しいもんないか?」
「ない」
「わかった、ぢゃ、店あっから行くな。」
「ありがとう、頑張ってね」
翔太が出て行く
「やっぱり同じ指輪だった……どうして、同じ指輪してるの………かな」
拓哉わ指輪をジーッと見つめた