テキストサイズ

最後のキス~琉球の海を渡る風~

第5章 The king who disappeared~消えた国王

 そっと指の先で摘んで持ち上げてみれば、それは小さな小さな二つの星の砂であった。間近にかざして見つめると、貝はデスク横の窓から差し込む陽光でキラキラと控えめな輝きを放つ。
―これは星の砂。
 あの時代で王と共に波打ち際で戯れた日、二人で拾った星砂たちに違いなかった。
 熱いものが頬をすべり落ちているのに気づき、藍那は初めて自分が泣いているのだと知った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ