僕は子供じゃないっ
第4章 育て猫
でも会ったばかりだからそれはないかな。
一護の顔が格好いいからそう思うんだろうね。
「あの。俺の顔、何か付いてるか?」
「ううん。格好いい…一護…だから見てた。」
「柴輝、お世辞が上手いね。」
一護はなぜか苦笑いだった。
お世辞じゃなくて、本当に格好いいのにな。
「一護…彼女いない?」
「いないよ。今までも1人しか付き合ったことない。」
「えーっ。一護…いくつ、歳?」
「19歳。」
「一護……。」
「ちょ、そんな哀れんだような目で見ないでよ。」
一護がいうような視線になっていたかは分からないけど、19歳で今までいた恋人が1人だけなんて…。
アメリカじゃあ絶対あり得ない。
「びっくり…一護純粋…。」
「くくっ。そう、俺は純粋なの。」
一護は笑ってそういった。
一護の恋の話が終わるときには、ご飯も食べ終わっていた。
お皿を洗うのを手伝って、それが済むと一護はココアを淹れてくれた。
「柴輝は髪の毛が長いね。」
「僕…腰まである。ほらっ。」
大きいソファーに腰を下ろして、一護に背中を向けた。
「うん。でも、男の子には珍しいね。理由でもあるのか?」
「ママとパパ…似合うって…だから長い。」
「そうか。」
余程僕の長い髪が気に入ったのか、一護は櫛でとき始めた。
サラサラだとか、黒くて綺麗だとか言いながら、優しく撫でるようにされた。
「う〜ん…もっとぉ…一護…。」
「――っ。」
返事がなくて振り返ると、少し赤くなっている一護の顔が目の前にあった。
「さ、柴輝っ。」
一護は何故か慌てて離れていった。