僕は子供じゃないっ
第4章 育て猫
「顔…赤い…。風邪引きさん…?」
「い、いや。急に振り向くから驚いただけ…だ。」
「一護?」
「そ、そうだ。柴輝のご両親に連絡入れないとな。番号わかるかな?」
明らかに話を変えて誤魔化されたけど、パパとママの話が出たから追求は諦めることにした。
「番号…はい、これ。」
「ネックレス?」
「ドッグダグ…。裏…番号…。」
一護にドッグダグを手渡した。
パパがもしものためにくれた、電話番号と僕の名前を裏に刻んであるドッグダグ。
「おお、凄いな。掛けてみるから、ちょっと待ってて。」
一護は携帯を取って部屋に入っていった。
ママとパパは1人息子の僕を、僕自身が言えるくらいに溺愛している。
パパは特に酷くて、僕は友達と外に遊びにいったことがなかった。
それでも、ママとパパは優しくて美男美女で仲良しで大好きだ。
「会いたい…。」
ママとパパのことを考えたら、少し涙が零れた。
ママが今の僕をみたら、物凄く心配して、励ましてくれるんだろうな…。
僕が誘拐されたってきいて、パパは倒れたり熱出したりしてないかな…。
誘拐されて、真っ暗な部屋で叩かれたし、変な風に触られて気持ち悪かったけど、挫けなかったのはママとパパのおかげ。
ママとパパに会いたくて、アメリカに帰りたくて、僕は頑張れた…。
「ママ…パパ…大好き…。」
「柴輝、繋がったよ。…出られる?」
僕が泣いてたから、一護は心配そうに顔を覗き込んだ。
「うん…平気。」
一護から受話器を受け取った。
『もしもし、柴輝?』
「パパ?」
『ああ!良かった!無事だっのか…うぅっ。』
「泣いてる…パパ?」
『…っ当たり前だ。命より大切な柴輝が…誘拐っだなんて…くっ…。』
「パパ…っ。」
パパが泣いてるのに、僕も涙が出て何も言えなかった。