僕は子供じゃないっ
第3章 見つけ猫
「今出まーす。」
玄関に駆けていき、勢いよくドアを開けた。
―ガンッ
「痛いっ。ちょっと!神宮さん、気をつけて下さいよ!」
「すいません…大家さん。あの、どうかされましたか。」
「あの段ボール、潰してから置いといてくれないと邪魔だって苦情があったんです。
困りますよ?」
「あれ?全部潰してから纏めといたはずなんですけど…。重ね重ねすいません。」
「まあ片付けて下されば良いので、よろしくお願いします。」
「はい。わざわざお手数お掛けしました。」
大家さんは気のいいおばさんで、今回のことも怒ってはいないようで安心した。
でも本当に段ボールは全部潰しておいたはずなんだけどな。
玄関を出ると、階段の方に置いた段ボールを確認した。
「あ、ほどいてある。誰かの悪戯?」
そう思って組み立てられた大きな段ボールに目を向けた。
半分蓋を開けてみると、何かが入っているのが見えた。
「ん?何だ、これ。」
蓋を完全に開いて中をみた瞬間、俺は自分がまだ夢から覚めていないのかと思った。
「ま、まさか…人?!」
頬をつねってみて、確かにヒリヒリと痛んだ。
どうやら夢ではないらしい。
よく見ようとしても、段ボールの中は影になって見えない。
どちらにしろこのまま放っておくわけにはいかないから、持ち上げて家に運ぶことにした。
「よっと。お、軽いな。」
思った以上に軽かった箱の中身が誰なのか、俺は気になって仕方がなかった。