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この前、人を拾いました

第63章 ⑥―5 10th Birthday

「本当に………
本当に無事で良かった…」



さっきまで顔をずっと下げて祈るようにしていた父が、ぼろぼろと涙を流し、礼二の頬に何粒か落ちた。



礼二は首を父の方に向けると、虚ろだった目を大きく見開いて


「それが……
お母様ですか……」



と突然言い出した。




何を言っているんだろう。

やはり頭を打った衝撃で、ちょっと混乱しているのだろうか。



「礼二、私はお前の父だ。母に見えるのかな?」


父はそういいながら、少し不安そうに笑った。


「あぁ…」


小さな声で礼二は、そういうと、ゆっくり目を閉じて、そのまま眠った。

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