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跨いでいった男たち

第37章 天使が微笑む頃

ゆい「里奈ちゃん、覚えてる?私が一気にお酒飲んじゃって、トイレ行った時、里奈ちゃんが真っ先に飛んできて背中摩ってくれたよね?」

ゆい「本当に嬉しかったの、私ね、妹がいるけどお姉ちゃんはいなくて、ずっと欲しかったから・・」

ゆいは里奈を車椅子に乗せて、院内を散歩しながら問いかける。

ゆい「里奈ちゃんの手すごく温かくて、近寄りがたかったけど里奈ちゃんの優しさが嬉しかったよ。」

里奈は聞いているのか、いないのかわからずに口角だけは上がっていた。。

ゆい「里奈ちゃんが沢山辛かった分、これからはゆいと沢山笑ってすごしたいな・・笹木さんも春日さんも一緒に」

ゆい「里奈ちゃん、神様は平等じゃないかもしれないけどね、失う時って必ずなにかを残していくと思うの。。」

ゆい「里奈ちゃんが失ったものはゆいには考えられないくらい辛かったと思う。」

ゆい「里奈ちゃん、自分を愛してあげてね。」

里奈は涙を流していた。。。
ゆいのゆっくりで優しい口調が里奈の心に傷に流れ込んでゆく。


里奈『ゆ・・・いちゃん・・』

ゆいはびっくりし動揺を隠しこたえる

ゆい「ん?里奈ちゃん」

里奈『ありがとう・・・。』

ゆい「ふふふ」

里奈『私、夢を見たの・・』

ゆん「うんうん 涙」

里奈『真っ暗な森から光る一筋の光。』

ゆい「うんうん 涙」

里奈『潤が・・闇になるなって』

ゆい「うんうん」

里奈『ゆいちゃん、私、光になれるかな・・・』

ゆい「ふふふ、里奈ちゃん、私にはマリーナにいるころから、里奈ちゃんは光だったよ。」

里奈『ふふふ、ゆいちゃんが羨ましかった愛されててあんなに』

ゆい『里奈ちゃんも愛されてるよ。ほら見てあそこに立ってる人』

ゆいと里奈は病室に戻る廊下に笹木の姿を見つけると里奈に示した。

里奈『笹木・・さん?なんで?』

ゆい「さぁ?それは里奈ちゃん、本人に聞いたほうがいいよ♪」


笹木はあきらかに里奈の雰囲気が違うことを遠目から見て感じていた。そして廊下の先の窓から差し込む陽射しが二人を照らし、天使が微笑んでる幻を見た・・・。

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