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跨いでいった男たち

第38章 溺れる魚

咲はなぜ抱きしめられたのか
困惑していた。

咲の中のトラウマはもがいてももがいても消えることなく
愛されることは男たちに喜ばれる行為をすることでしかなかった。

しかしそれを拒絶され、抱きしめられた意味もわからない・・・

泣きつかれてその場で倒れ込んだ。

瞬もまた何故、咲を抱きしめてしまったのか。。

咲に対する罪悪感なのか

里奈を犯した罪悪感に苛まれ、獣になると誓った

すべての思いが崩れていく。。。

里奈はどうしているのだろうか。

僕は里奈にどうしたら許してもらえるだろうか・・・

里奈がもし、死んでいたなら僕はどうしたらいいのだろうか・・

兄さん 僕はどうしたらいいんだ

泣き崩れて倒れた咲をベットに運ぶと、咲は眠りながら、瞬の手をギュっと握りうなされていた・・。

温かいな この手

瞬はなぜか振りほどけずにその手を握り締め

涙を流した・・・。

兄さん、僕はわかった気がするよ

僕を必要としているこの手を

僕 また人を愛してもいいのかな

里奈は許してくれるのかな・・。

咲は夢を見ていた、冷たい海底かに温かい海流が流れ、光が差し込む夢を。。



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