誠の華
第1章 出会い
な、何これ...
ど、どうなってんの?
ゆ、夢...
って、しっかり起きてたし!
今、私の視界一杯に広がるのは田んぼと畑...
そして舗装されて無い地面
電柱一本見当たらない長閑な風景
私は先程降りてきたばかりの階段を振り返った
そこにはしっかり石造りの階段...
でも、目の前は...
何で?ど、どうして?
私は頭がパニックになりながらも、取り敢えず、歩き出した
きっと、もう少し歩けば、建物も...電柱も...見えて来る筈
しかし、暫く歩いた私の目に飛び込んで来たのは
明らかに現代の日本とは掛け離れた光景
建物も、そうだが行き交う人々...
そこには、今まで本の中、テレビの中で見た景色が広がっていた
コンクリートで出来た建物は一つも無く 、人々は着物を身に纏い、髪型は時代劇そのものの人から結んでるだけの人まで様々だ
呆然と見つめる私の耳に
「聞いてますか?」と、柔らかなテノールが響いて来た
声に釣られる様にガバッと顔を向けると、空色した羽織を来ている綺麗な顔立ちの男性が顔を覗き込んでいた
目が合った瞬間、男性は目を見開いた
その人の瞳に吸い込まれる様にボーッとなる私
現代でもイケメンの部類に入るだろうその人
髪を高い位置で纏めて、クリッとした、大きな瞳と髪は色素が薄いのか一緒の茶色だ
スーッと筋の通った高い鼻に、形の良い薄い唇、高い伸長に長い手足
「あの、聞いてますか?」
の声にハッとなった私の耳に
「貴女は異人ですか?」と、目を細めたその人に
「ち、違いますっ!」と、声を張り上げた