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愛の嵐

第42章 偶因×晴陰=衷懐

《和也時間》 

兄貴達から逃れる為に外に出た
本当は家でゲームしてたかったのに

和「外出するだけなのに・・・女装て」

知り合いに見られないように人混みに紛れる
こういう時だけは身長が小さい事に感謝した

和「どこで時間潰そうかなぁ」

行き先に迷って立ち止まった瞬間に腕を掴まれた

和「うわっ、な・・なに?」
相「捕まえた♪」
和「えっ・・はぁ?な、何で?」

行き交う人の視線が俺達に向いているにも関わらず気にしていられなかった
今、目の前にいる人に驚き過ぎていたから

相「探したんだよ~♪」
和「・・・はぁ?!」
相「取りあえず行こうか♪」
和「ちょっ、えっ、えぇ?」

グイグイと引かれて進んで行く
混乱して拒む余裕すらない
なに、この状況?
何で王子が俺の手を引いてる訳?
探してたって・・俺を?!

相「二人になれる所に行こ♪」

今の俺にはうまく聞き取れない
思春期のせいにしていた動悸が再び強く心臓を打つ
まさか、好き・・とか

和「違うっ!そんなんじゃ・・」
相「ん?何が違うの?」

振り向き真っ直ぐに向けられた視線が俺を射抜く
瞬間、息が止まって眩暈がした
高鳴る鼓動が自分の耳に響いてくる

和「な・・なんでも、ない・・・です」
相「そう?」

精一杯振り絞った言葉は尻すぼみ
俺は俯いて視線から逃げた
そうしないと全てを持って行かれそうで怖かったんだ
握られた手が熱いのに未だに振り払えないでいる
ただ引かれるままに足を進める事しか出来なかった

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