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運命の誘惑

第17章 微動  *汐生side*

―――事の発端は4日前。



「岡田君ッ!」



寺島と屋上から教室へ戻ってる途中、奈菜から突然声を掛けられた俺は正直ちょっと戸惑った。



「誰?」



なんて言ったけど実は彼女の存在、知ってたから。



以前。



寺島が廊下で派手に転んだとき、既に正門から下駄箱まで戻って来てた俺は寺島が扱けた瞬間を見てて。


助けに行こうと一歩足を踏み出した時、奈菜が現れた。



休みなのに学校行ってんのバレたらヤバいと思って咄嗟に隠れながら寺島と奈菜を見てたら

奈菜は寺島のボールペン拾って何やら声を掛けてたんだけど、




その時の“眼”。




口元は笑ってるんだけど眼だけは全然笑ってなくて。



派手に扱けた寺島を気遣う風だけど、

表情は柔らかく口元も笑ってるけど眼だけは何というか‥



鋭い眼差しに見えて全体の雰囲気と凄く違和感があるように見えた彼女。



だから俺は覚えてた。









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