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運命の誘惑

第17章 微動  *汐生side*

背中でスースーと寝息を立てながら相変わらず酒臭い寺島の顔を見つめる。



“あの子といるとモヤモヤする”


“一緒に居るって言った癖に‥‥。
傍に居るって言った癖に‥・・。
嘘つきおからのばぁか‥‥”



寺島が呟いた言葉が頭の中を駆け巡る。


そして、気付いた。





‥‥俺、バカだ。





奈菜の言葉で寺島より奈菜と一緒に居る事を優先させた。


それは寺島を守りたかったから。


だから奈菜の方を優先させた。

寺島に何かあるのだけは絶対避けたかったから。




‥でも、




それは間違いだったんだ。



何と言われても寺島の傍に居るべきだったんだ。

何と言われても寺島と一緒に居て、傍で寺島を守るべきだったんだ。




今日、ここまで寺島を酔わしたのは紛れもなく







―――俺。









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