テキストサイズ

運命の誘惑

第21章 歪愛 *汐生side*

俺は座り込んだ奈菜の目線に合わせてしゃがんで



「川に落ちてたらその程度の痛みじゃ済まなかっただろうな?」


「落とせば良かったでしょ」


「やだね。お前と同じ事してたら芸がない人間なっちゃうじゃん、俺」



クスッと笑うと奈菜は相変わらずの険しい顔で



「‥あんたなんかに私の気持ちは分からない」



流れる涙を手の甲で拭いながら言った。




「確かに。
俺にはお前の気持ちは分かんねー。好きな奴が死んだ哀しさを人のせいにして乗り越えようとする奴の気持ちなんか分からないし、分かりたくもない。

でもさ~そんな事して相手は喜ぶわけ?

お前が好きだった奴が惚れてた女傷付けて喜ぶとでも思ってんの?

そんな事、一つも望んでないと思うけど?」




「‥・あんたに一体何が「分かるよ?」


「‥え?」


「残念だけど俺には分かるんだよね。」




首を傾げて苦笑した時、




「愛結ー!!!」
「汐生ぉー!!」




好美と元の声がした。






ストーリーメニュー

TOPTOPへ