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運命の誘惑

第31章 闇×真実=・・   *汐生side* ②

「それって次から次へ“忘れさせてもらう相手を探す”て意味じゃないと思うぞ?
“忘れられる相手を自分でちゃんと探す”そういう意味じゃね?

そもそも自分の辛さをどうにかしてもらおうって他人に委ねてんじゃねーよ」



光もウィスキー入りのコーラをグイッと飲み干して“バカが”と何故か説教を食らった。



‥・・でも。



光の言う通りだ。

忘れたいと思いながら“忘れさせてもらおう”って事ばかりで自分の気持ちは閉じたまま。

閉じた心にどれだけ何かを相手が投げ打っても届くわけがない。



「ありがとう!光。
何だか少し楽になった。
俺、自分から見つけて見せるよ!」


「その前にもしかしたら兄ちゃんとその女ダメになってんかもしんねーから確認してみたらいいと思うけどね~」


「だからそれは無いって」


「だから分かんねーじゃんって!聞くだけじゃん、軽いノリ的な感じで“最近どうよ?”的に。」



光は自分の膝に肩肘付いてグラスの縁をグルグル指でなぞりながら上目で俺をチラリ。



「お前は兄ちゃんが大事だろうけど俺は逢った事もない兄ちゃんより悪ぃけどお前の方が大事なわけ。
お前に俺は幸せになって貰いたいだけなの。

兄ちゃんに聞くだけ聞いてみろよ?」



そう言って俺の携帯を取って俺に“ほれ”と渡した。



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