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運命の誘惑

第36章 勇気の一歩

「寺島?」



名前を呼ばれた瞬間には岡田の胸の中に引き寄せられてて、

ふわりとサムライの香りが私の身体を包み込むように香る。



え?



と岡田の顔を見上げようとすると、少し息が苦しくなるくらいギュッときつく抱き締められて、

岡田の茶色い少しパーマかかった髪の毛が私の頬を掠める。




「お‥岡‥「良く頑張ったな‥寺島」





岡田の言葉にドクンと心が跳ね、目頭がジーンと熱くなるのを感じる。




「500メートル完走、本当におめでとう寺島。

すっげー綺麗だった。マジで‥。

恭は寺島の走ってる姿が好きだったから恭も絶対見てたと思うよ」



岡田はそう言うと少しだけ私から身体を離して空を指差して




「“あそこ”から」




“なっ!”と目を細めて優しく笑った。












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