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従わない奴隷

第12章 ユウリと今野


「じゃあ

その時が来たら
お願いします」



ユウリは
クッションを
抱いたまま
頭を下げた




「あぁ、いつでも言え」




「はい」




ちょっとユウリが
元気になってほっとした


本当に
俺に何か
頼みたかったのかどうかは
分からなかったけど




「ケーキ、食えよ」



「はいっ」



待っていたかのように
ユウリは
すぐに立ち上がって
冷蔵庫から
ケーキを取り出してきた


俺はいらないから
って言うと

ユウリは
迷わず
イチゴのショートケーキを
取りだし
ニコニコと笑った



ユウリが
ケーキを食べはじめると

俺は
テーブルに
肘をついて

お茶を飲みながら
時々
ユウリを見つめた



うまそうに
食うな・・・



こっちまで
ニヤけちまう




今日は
あんま
唇、汚さねーな・・・

だから
唇を
ぬぐわない


少し
赤い唇が

見たかったのに





あっとう間に
ケーキを
平らげたユウリは

そんなに
汚れてもいない
唇を
やっぱり
ティッシュで
ぬぐいはじめた



(笑)

やっぱり
拭くんだな。



また

赤くなってる




「ごちそうさまでした」




両手を
合わせて

俺に
そう言ったユウリ



お前の
その
無意識な行動全てが

俺は
かわいくて
仕方ないよ・・ユウリ




ユウリが
合わせていた両手を
下ろすと


また
唇が見えて



俺は



ゆくりと


その唇に





手をのばした



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