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従わない奴隷

第15章 俺と仕事


俺は

ユウリを
抱きしめる腕から

少しだけ


チカラを抜き




まだ

うつむくユウリの

名前を呼んだ





「ユウリ・・」




「・・・はい」





それは



小さな小さな

返事だった






「キス・・・するだろうな


・・・多分」





そう言って

ユウリの
頬に手を当てた




もう

何も聞こえなかった



もう

ユウリしか
見えなかった



俺の吐く息が

妙に
白く感じた




ゆっくりと
顔を上げて
俺を見るユウリが


愛おしくて
しかたなかった




やわらかな



優しいキスを








したいと思った






「・・いいか?」






なんて
アホなこと
言ってんだろう
と思った



そんなこと


聞いたことねぇのに


何、聞いてんだって

思った





ユウリが
聞かれて困るようなこと


言ってんじゃねぇよって




思った









でも

ユウリは







返事をくれたんだ








ユウリは

何も言わないで





ゆっくりと













瞳を閉じたんだ


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