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月琴~つきのこと~

第4章 第二話 【月琴~つきのこと~】 二

 嘉平太が妙乃に見せる優しさや笑顔は他の誰にも見せるものだ。良人と二人で話していても、まるで会話だけが上滑りしてゆくような空しさを憶え、妙乃もいつしか良人に話しかけることを止めた。時間だけが徒(いたずら)に流れていった。
 そんなある秋の夜のことである。二人が夫婦となって既に半年が経とうとしていた。

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